ご縁があって、日本平和学会に加入しています。
1973年に設立された本学会は、変わりゆく現実に対応しながら、平和な世界を実現するための学術活動を持続的に展開してきました。国家間紛争はもとより、軍事主義、不均衡な社会構造、貧困、環境・人権への脅威、差別など人間の安全を脅かす諸要因の除去に向けて、学際的な研究を積み重ね、平和の構想を提示してきています。
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今日は、今年初めての北海道・東北地区研究会でした。
コロナ禍のほぼ唯一のメリットといえるオンライン会議の推進で、東北地区の皆さんや、北海道でも札幌地区以外の皆さんとも研究会ができるのは、本当にいいことですね(もちろん、対面には代えがたい魅力が今なおあることは当然としても。)。
今日は、北海道大学の笹岡正俊さんの「人びとはなぜ『不法占拠者』になったのか:強制排除された人びとの生活再建に対する社会的責任」というご報告で、インドネシアの植林企業の中で生まれた「不法占拠者」と強制排除について、その前提となる産業造林型移住事業のしくみや成立経緯、排除された人びとの生活再建など多岐にわたるご報告。
全く異なる分野の発表でしたが、大変に興味深い発表でした。
法律家としては、強制排除の前提となる「不法占拠者」であることの司法判断がどうだったのかとか、「自力救済の禁止」といったキーワードが気になるところでした。その後の討論も、予定時間を30分以上超えて議論があり、それぞれの国の法制度やその国の歴史、特に植民地支配以来の土地利用権や国家の強大な権限などの背景を見据えつつの議論でおもしろかったです。
この「おもしろい」という感覚は、なんとも言えない感覚です。勉強の思い出はつらいことのほうが多いようにも思いますが、最近は新たな学びを得ることが楽しくなってきました。もともと、本を読むことが苦ではありませんでしたが、こういう気持ちになるようになったのは、いつのころからでしょうか。
今日のご発表は、ESGをいかに考えるかを、いま現実に発生している問題に則して考えさせられるものでした。SDGsもESGも、単に掛け声ではなく、いまここにある切実な現実の課題をどのように克服するかという問題だということを、再認識することにもなりました。
ちなみに、今年6月の春季研究大会は、網走の東京農業大学北海道オホーツクキャンパス。コロナ禍が落ち着いていればいいなと願いながら、現地に行くのを楽しみにしています。